文書の配布管理

この前の審査で文書の配布管理で少し勘違いをした
審査組織のマニュアルでは「・・・外部で作成された文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。」となっていた
審査において確認すると、外部文書が何かはあまり明確ではなく、特定する文書は存在しなかった
また、配布を管理する仕組みについても明確に確認することができなかったが、そのことが、良くない結果に結びついている事例も発見できなかったので、「マニュアルに規定してある、外部文書を使用する場合には、適切に配布管理することに関して検討の余地がある。」と観察をメモした

この時の勘違いは、マニュアルに配布台帳を作成して管理していると書いてあると、勝手に考えてしまったことである
観察のメモ自体には配布台帳の有無について記述していないので問題は結果として無かったが、配布の管理について、少しピントがずれてしまった
協力業者や発注先に製作図面や仕様書を送り、変更などがあったときは当然、組織は変更図書などの再配布や修正をおこなっているはずであり、そのために悪さ加減は発見できていない・・・すなわち、観察事項でもなく、組織は規格要求事項に適合していたと考えられる

”配布管理=配布台帳による管理”とかってに頭が考えてしまう、昔の悪い習慣が出てしまった
言い訳がましくなるが、ISOの最初の頃(筆者が管理責任者の頃)は、審査員は配布台帳がない事例は、問答無用で”不適合”とされた
規格要求事項の記述には、配布管理台帳を作成(文書化要求)の要求はない・・・今までのISOの審査で過大解釈された例である

ISO9001 4.2.3文書管理
品質マネジメントシステムで必要とされる文書は、管理されねばならない。・・・・・・必要な管理を規定するために”文書化された手順”を確立しなければならない・・・・
d)該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする。
f)・・・外部からの文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。
ISO14001 4.4.5文書管理
ISO14001に於いても文書管理の要求事項はISO9001とまったく同じである

文書管理のための”文書化された手順”を要求されているが、文書を管理するための手順であって、配布管理した結果の記録(配布管理台帳等)まで要求していると、考える拡大解釈は行き過ぎである
規格要求事項も内部文書に関しては配布管理は要求していない、d)では、該当する文書の適切な版が、使用可能な状態であればよいとしている
しかし、f)では、組織が必要とした外部文書は配布管理を要求している。
あくまで配布をおこなった文書を管理せよということであり、配布先やバージョンなどの配布管理台帳等を要求はしてはいない

4.2.3文書管理

品質マネジメントシステム(QMS)で必要な文書の管理を要求している
何がQMSに必要な文書なのか良く検討することが必要で、むやみに文書化を進めると運用に効果のない、かつ形骸化した文書が増えて、システムの有効性を阻害する時が多い
文書管理に関しては”文書化された手順”が要求事項となっているので、その管理の仕組を具体的に(5W1H)で規定して文書化する必要があるが、多くの場合品質マニュアルに管理方法を記述することで良い
また、文書の一部である記録の管理に関しては”4.2.4記録の管理”で管理する

■管理する文書は発行する前に承認することが要求されている
どの文書が管理する文書であるか組織内で良く検討する必要がある
無駄な文書を管理文書とすると文書管理が複雑になり有効性を低下させる原因となる
管理すべき文書と決めたら、当然ではあるが内容は適切であるか審査し承認する必要がある
いつ、どのように、誰が審査し承認するかを決めておく必要がある(5W1Hで)
■運用されている文書はレビューして再承認する
文書はいつ、どうのように、誰がレビューし再承認をするかを決めておくが、規格は必要に応じて実施するとなっているので、定期的に行なえとは規定していない
その文書を管理している責任者(文書の承認者)が監視しレビューしていればよく、レビューや監視の記録は要求されていないが、必要とされた文書の更新と再承認の行為は記録となる
実態の仕組とその仕組を規定する文書とが整合していればよい
また審査(監査)によって実態と文書の間に些細な不整合があったとしても、その事によって問題が発生していないならば、指摘とするには過大な要求となる可能性がある
■文書の変更の識別、有効な版の識別
管理文書の変更に当たってはどこのヶ所が変更になったのか分かるようにしておく
また、文書は発行した履歴の版が識別できるようにしておく(バージョン管理)
どのような方法で変更場所を識別し文書のバージョンなどは出来るだけ簡単な方法で管理するかを考える(電子化などがよい)
■その文書の必要なバージョンが必要な時に使えるようになっている
必要な文書がすぐ見ることが出来る用になっていればよい、手元にファイリングなどは要求されていない、例えばイントラネットに文書があり、パソコンから閲覧できればよい
文書の有効な版(最適版と最新版がある)が識別できるようにする

■文書は読んで意味が分かり、文書の種類や版が分かる
文書として読んで意味が分かり、バージョンが明確なことは当たり前である
■組織が必要であると決めた外部文書は管理している
何が管理すべき外部文書か明確にする、少なくとも製品を製造するに必要な仕様書や規格、法令規制及び顧客の図面類などは外部文書である
もし、その外部文書を配布する時には配布管理が要求されている
必要性を良く検討して配布をしないと、管理の手間が増大する、効率よくするにはイントラネットなどで情報を共有し、印字したデータは非管理文書と規定しておくなど工夫をする
■廃止された文書は区分等の識別をして、間違って使われないように管理する
廃止された文書はすべて破棄し管理していないとすることは、過去の遡って原因などを追及する時に問題が発生することが考えられる
文書を管理する責任者がその班を保管していれば良く、バージョン管理が確実であれば廃止文書などと明記する必要もない
イントラネットなどで管理することが有効である

文書の管理を今までのように台帳や紙で管理すると、文書管理は意外と手間がかかる
イントラネットで電子化された文書管理を実施することで大幅な軽減が可能になる
印字された紙の規定類や文書は非管理文書として規定し、イントラネット上の文書を管理文書とすることにより複雑な配布管理は実施しない
文書の承認についても一般な組織では印座が多すぎる、規格で要求しているのは承認(責任者の印)のみである・・印座は廃止しイントラネットのIDに文書の承認権限を割り付ける
識別についても従来のように紙の台帳などで管理すると追加や修正など大変であり・・・イントラネットで承認権限をもつ責任者がアップロードできる仕組にし てアップされた文書はイントラネット上のアプリケーションで整理・識別されるようにシステム化する(メンテナンスフリーとする)
外部文書についても同じ仕組で管理すれば配布などは必要なくなる
このような電子化された仕組はイントラネットを転回している組織には有効な管理方法となる


4.2文書化に関する要求事項