文書の配布管理

この前の審査で文書の配布管理で少し勘違いをした
審査組織のマニュアルでは「・・・外部で作成された文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。」となっていた
審査において確認すると、外部文書が何かはあまり明確ではなく、特定する文書は存在しなかった
また、配布を管理する仕組みについても明確に確認することができなかったが、そのことが、良くない結果に結びついている事例も発見できなかったので、「マニュアルに規定してある、外部文書を使用する場合には、適切に配布管理することに関して検討の余地がある。」と観察をメモした

この時の勘違いは、マニュアルに配布台帳を作成して管理していると書いてあると、勝手に考えてしまったことである
観察のメモ自体には配布台帳の有無について記述していないので問題は結果として無かったが、配布の管理について、少しピントがずれてしまった
協力業者や発注先に製作図面や仕様書を送り、変更などがあったときは当然、組織は変更図書などの再配布や修正をおこなっているはずであり、そのために悪さ加減は発見できていない・・・すなわち、観察事項でもなく、組織は規格要求事項に適合していたと考えられる

”配布管理=配布台帳による管理”とかってに頭が考えてしまう、昔の悪い習慣が出てしまった
言い訳がましくなるが、ISOの最初の頃(筆者が管理責任者の頃)は、審査員は配布台帳がない事例は、問答無用で”不適合”とされた
規格要求事項の記述には、配布管理台帳を作成(文書化要求)の要求はない・・・今までのISOの審査で過大解釈された例である

ISO9001 4.2.3文書管理
品質マネジメントシステムで必要とされる文書は、管理されねばならない。・・・・・・必要な管理を規定するために”文書化された手順”を確立しなければならない・・・・
d)該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする。
f)・・・外部からの文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。
ISO14001 4.4.5文書管理
ISO14001に於いても文書管理の要求事項はISO9001とまったく同じである

文書管理のための”文書化された手順”を要求されているが、文書を管理するための手順であって、配布管理した結果の記録(配布管理台帳等)まで要求していると、考える拡大解釈は行き過ぎである
規格要求事項も内部文書に関しては配布管理は要求していない、d)では、該当する文書の適切な版が、使用可能な状態であればよいとしている
しかし、f)では、組織が必要とした外部文書は配布管理を要求している。
あくまで配布をおこなった文書を管理せよということであり、配布先やバージョンなどの配布管理台帳等を要求はしてはいない

7.3設計・開発の除外について

ISO9001の適用除外は7.製品実現の状況について可能であるが、7.3設計・開発の除外について誤った解釈されている組織があり、注意が必要である
設計・開発の適用除外は、要求事項を満たす製品を提供するという能力及び責任に関してどのような影響も及ぼさないことが必要である
また設計・開発の定義は要求事項を製品やプロセスを規定された特性及び仕様書に変換することであり、一般的に考えられている設計だけではない
また当たり前であるが、除外することが不自然であるもの、したくないのが除外理由ではない
良くある事例として、設計部門が組織に存在しないとして適用除外をしている組織があるが、本当に設計・開発の機能は存在しないのであろうか
改善のために製品製造過程において工夫改善や機能を変更するなどのVE・VA活動及び顧客への提案活動などは設計・開発の機能である
広義の解釈では製造のための生産計画やプロセスの設計などは設計・開発の機能といえる

ISO9001規格の歴史

ISO9000シリーズの規格は1987年に制定された
その後1994年に改訂され、日本においても翻訳された規格があわせてJIS Z 9001:1994として発行されている


ISO9001~9003:1987 JIS Z 9001~9003:1991

供給者(組織)が顧客の求める品質要求事項を満たす能力を証拠で示す基準を与える「外部品質保証」のモデルとしてスタートした


ISO9001~9003:1994 JIS Z 9001~9003:1994 品質システム-設計、開発、製造、据付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル

品質保証モデルは顧客が供給者(組織)に対する信頼感を保持するために、組織の構築した仕組(システム)に何を要求するべきかをという観点から規定され、ISO9001(設計)、ISO9002(製造)、ISO9003(検査)で要求していた
このモデルの要求事項は証拠が重視され文書化と記録の要求が多く、このときの印象が、ISOは文書が多く形骸化したシステムであるという評価となってしまった


ISO9001:2000 JIS Z 9000:2000 品質マネジメントシステム要求事項

「品質保証」に加えて「継続的改善」と「顧客満足」の要素を加えて、呼び名も品質保証モデルからマネジメントシステムと内容も大幅に変更された
また、文書化や記録の要求事項が必要最小限となり、文言も分かり易く改訂された


ISO9001:2008 JIS Z 9000:2008 品質マネジメントシステム要求事項

曖昧な内容と理解しやすい文言に修正されたが、ISOの意図と条項の改訂は行なわれず追補ということになった

ISO9001における設計・開発とは

ISO9001で使われている「設計・開発」の用語の意味を組織において都合良く定義すると、当組織が「設計・開発」の機能を持っていないとの理由で、規格条項「1.2 適用」で「設計・開発」を適用除外をすることができる
2008年度改定を機に「設計・開発」の適用除外を厳格に運用することになっている
「設計・開発」:要求事項を実現させるために製品、プロセス、システムの仕様に変換する行為をいう
ここでいう要求事項は顧客要求事項のみではなく、法令・規制要求事項、組織の要求する内容も含む
「設計・開発」には製造に関わる提案や変更提案及び工夫・改善や工程変更も含まれることになる
またサービス業などではサービス提供の手順を決めているマニュアル作成などは計画行為は「設計・開発」に含まれる

4.2.1一般(文書化に関する要求事項)

品質マネジメントシステム(QMS)の文書には次の四つが要求されている

1. 品質方針と品質目標
品質方針については”5.3品質方針”による
品質目標については”5.4.1品質目標”による
2. 品質マニュアル
内容については”4.2.2品質マニュアル”による
3.規格で要求されている”文書化された手順”及び記録
規格で要求している六つの文書化された手順(4.2.3文書管理|4.2.4記録の管理|8.2.2内部監査|8.3不適合品の管理|8.5.2是正処置|8.5.3予防処置)
規格で要求している20カ所の記録
4.組織が必要とした文書及び記録
規格は要求していないが組織が効果的な運用をするために必要とした文書
組織の品質マニュアルや規定、手順で必要とした記録
文書及び記録は建前や従来の管理の延長上で規定すべきではない、本当に何が必要でどのように使うのか形骸化をさせないために良く検討する必要がある、また運用して不要、必要をレビューして改善してゆくことも必要である
注記1 ”文書化された手順”についての説明
手順が文書化されて、実施され、維持(レビューされ更新される)されることを意味する
文書化は必ずしも一つの文書にまとめる必要は無い
注記2 QMSの文書化の程度は異なってよい
組織の規模及び活動の種類によって・・・大きい組織と小さな組織は当然違う
組織のプロセスとシステムの複雑さ・・・システムとプロセスは合理的に簡素化した方が管理しやすい
組織に属している要員(従業員)の知識、技能や経験などの力量によって文書化の内容は異なる
注記3 文書化の媒体の種類はどのようなものでも良い
文書は上の媒体でなくても電子化、映像、看板、標識などどのようなものも文書化である
ただし、バージョンや最新版などの識別が出来なくてはならない

文書化は組織運営にとって無くてはならないものではあるが、目的はあくまで関係する人たちに役割や手順、規定などを伝達し、運用において間違えることがないようにすることであり、文書化が目的ではない
伝達し理解させるには紙の運用だけではなく、イントラネットや電子化された情報も文書化であり、その内容も図やマンガ、写真、フロー図、マトリックス、看板、表示類、映像化された情報等も含まれる
また文書化は組織の大小、仕組の複雑さ、関係する人たちの理解力に応じて、組織にあったものを作成すればよい、画一的に作成されるべきものではない


4.2文書化に関する要求事項

4.2.4 記録の管理

次にあげる目的のために必要な記録が要求され、その管理には”文書化された手順”が要求されている
規格(ISO9001:2008)で要求されている記録は20ヶ所ある

記録が必要な目的
■要求事項(品質マネジメントシステム要求事項、規格要求事項、製品要求事項)に適合した証拠として
■品質マネジメントシステムが効果的に運用された証拠として
文書化された手順で管理する手順には以下の内容を含む
1. 記録の識別・・・記録は識別が可能な方法
2. 保管・・・・・・どのように保管するのかその方法
3. 保護・・・・・・損傷しないための方法
4. 検索・・・・・・容易に検索するための方法
5. 保管期間・・・・どの記録をいつまで保管するのか決める
6. 廃棄・・・・・・保管期間が過ぎた記録を処理をする方法

記録の管理方法の手順は一般的に品質マニュアルに書かれることが多い、必要とされている管理内容について漏れの無いように決めておく
おのおのの管理をどのようにするかについては要求されていないので、組織で必要に応じて決める

記録は組織にとって効果的なものにする必要がある
記録を取ることはコストアップにつながる内容もありむやみに増やすことはシステムを重たくする
記録を取るには以下の内容を検討する

  • 何のために、取った記録はどのように分析して何に生かすのか
  • だれに対してその記録は証明する必要があるのか
  • その記録で本当に品質の証明になるのか
  • 正しく作成された記録と判断できる仕組なのか

4.2文書化に関する要求事項

4.2.3文書管理

品質マネジメントシステム(QMS)で必要な文書の管理を要求している
何がQMSに必要な文書なのか良く検討することが必要で、むやみに文書化を進めると運用に効果のない、かつ形骸化した文書が増えて、システムの有効性を阻害する時が多い
文書管理に関しては”文書化された手順”が要求事項となっているので、その管理の仕組を具体的に(5W1H)で規定して文書化する必要があるが、多くの場合品質マニュアルに管理方法を記述することで良い
また、文書の一部である記録の管理に関しては”4.2.4記録の管理”で管理する

■管理する文書は発行する前に承認することが要求されている
どの文書が管理する文書であるか組織内で良く検討する必要がある
無駄な文書を管理文書とすると文書管理が複雑になり有効性を低下させる原因となる
管理すべき文書と決めたら、当然ではあるが内容は適切であるか審査し承認する必要がある
いつ、どのように、誰が審査し承認するかを決めておく必要がある(5W1Hで)
■運用されている文書はレビューして再承認する
文書はいつ、どうのように、誰がレビューし再承認をするかを決めておくが、規格は必要に応じて実施するとなっているので、定期的に行なえとは規定していない
その文書を管理している責任者(文書の承認者)が監視しレビューしていればよく、レビューや監視の記録は要求されていないが、必要とされた文書の更新と再承認の行為は記録となる
実態の仕組とその仕組を規定する文書とが整合していればよい
また審査(監査)によって実態と文書の間に些細な不整合があったとしても、その事によって問題が発生していないならば、指摘とするには過大な要求となる可能性がある
■文書の変更の識別、有効な版の識別
管理文書の変更に当たってはどこのヶ所が変更になったのか分かるようにしておく
また、文書は発行した履歴の版が識別できるようにしておく(バージョン管理)
どのような方法で変更場所を識別し文書のバージョンなどは出来るだけ簡単な方法で管理するかを考える(電子化などがよい)
■その文書の必要なバージョンが必要な時に使えるようになっている
必要な文書がすぐ見ることが出来る用になっていればよい、手元にファイリングなどは要求されていない、例えばイントラネットに文書があり、パソコンから閲覧できればよい
文書の有効な版(最適版と最新版がある)が識別できるようにする

■文書は読んで意味が分かり、文書の種類や版が分かる
文書として読んで意味が分かり、バージョンが明確なことは当たり前である
■組織が必要であると決めた外部文書は管理している
何が管理すべき外部文書か明確にする、少なくとも製品を製造するに必要な仕様書や規格、法令規制及び顧客の図面類などは外部文書である
もし、その外部文書を配布する時には配布管理が要求されている
必要性を良く検討して配布をしないと、管理の手間が増大する、効率よくするにはイントラネットなどで情報を共有し、印字したデータは非管理文書と規定しておくなど工夫をする
■廃止された文書は区分等の識別をして、間違って使われないように管理する
廃止された文書はすべて破棄し管理していないとすることは、過去の遡って原因などを追及する時に問題が発生することが考えられる
文書を管理する責任者がその班を保管していれば良く、バージョン管理が確実であれば廃止文書などと明記する必要もない
イントラネットなどで管理することが有効である

文書の管理を今までのように台帳や紙で管理すると、文書管理は意外と手間がかかる
イントラネットで電子化された文書管理を実施することで大幅な軽減が可能になる
印字された紙の規定類や文書は非管理文書として規定し、イントラネット上の文書を管理文書とすることにより複雑な配布管理は実施しない
文書の承認についても一般な組織では印座が多すぎる、規格で要求しているのは承認(責任者の印)のみである・・印座は廃止しイントラネットのIDに文書の承認権限を割り付ける
識別についても従来のように紙の台帳などで管理すると追加や修正など大変であり・・・イントラネットで承認権限をもつ責任者がアップロードできる仕組にし てアップされた文書はイントラネット上のアプリケーションで整理・識別されるようにシステム化する(メンテナンスフリーとする)
外部文書についても同じ仕組で管理すれば配布などは必要なくなる
このような電子化された仕組はイントラネットを転回している組織には有効な管理方法となる


4.2文書化に関する要求事項

7.2.1製品に関連する要求事項の明確化

製品に関する要求事項について以下の項目について明確(shall determin・・)にすることが要求されている
どの要求はdeterminであるから明確にする意味は要求事項が何であるかを決定することである
そのためには製品要求事項は各対応する権限をもつ責任者が決定しておく必要がある

■顧客が規定した要求事項
顧客が文書(仕様書、図面、指示書、打合せ記録など)及び口答で伝えた製品への要求事項
口答で伝えられた要求事項も組織側でレビューすることが求められている(”7.2.2製品移管する要求事項のレビュー”で規定)
ここでのレビューは顧客に口答で指示されたことの再確認であるから、必然的にその要求事項を文書化しておかなければ難しいといえる
■顧客から明示されていないが、その製品を使用するに必要な機能や品質に関する要求事項
この要求事項は製品をセ蔵するに当たってたいへん重要な条項である
製造側は顧客から提示されたスペックに従って製品を造れば良いのではない
その製品を使用するために必要とされる品質や機能は製品への要求事項である
また製品に対して常識的に必要とされる品質(既知の要求)も製品への要求事項となる
明示されていない要求事項、すなわち暗黙の要求事項にどのように組織として明確にするための仕組を構築しているかがポイントとなる
今まで経験に基づく管理の延長上ではこの要求事項を明確に決定させる事が出来ないことが多い
この暗黙の要求事項を、いつ、どのように誰が決定するかを決めておく必要がある(5W1Hで)
■製品に適用される法令・規制要求事項
製品には多くの法律や条令などが関係するこの法令に関係する規制を誰が最新版に情報を整理し、正しく対応しているかを決定する仕組を構築する
この要求事項には業界の規制や約束事なども含まれる

■組織の要求事項
自分の組織が製品に対しての追加要求事項である
その要求事項には、スペックなどよりも更に高い組織としての品質水準(社内仕様)及び適用する技術(標準)などが該当する
また、製造にかかるコストや納期なども組織要求事項である
この社内要求を適用させるのは、どのように、いつ誰が決定するのか仕組を構築する(5W1Hで)
■引き渡し及び引き渡し後の要求事項
製品を引き渡す時の要求事項、すなわち運送や包装、養生及び取扱説明などを含む
引き渡し後の保証に関する取り決め、メンテナンスサービスに関する事項、リサイクルや製品を破棄する時の対応などに関する要求事項
これらの要求事項も明確にしておくことが要求されている

この条項でも文書化や記録を直接は要求されていないが、組織内部及び顧客との間でこの要求事項を明確にしておくためには、契約書や打合せ記録、そしてこの要求事項を決定した責任者などの情報は文書化した方が円滑に運営できる


7.2 顧客関連プロセス

8.2.1顧客満足

ISO9001は顧客満足の向上を大きな目的としている

”1 適用範囲 1.1一般 b)・・・顧客満足の向上を目指す場合”となっており、規格の目指す二つの事項の一つである
※もう一つのa)は組織が要求事項を満たした製品を移管して提供できる能力の実証である

この顧客満足が組織が構築した品質マネジメントシステム(QMS)を実施したことにより、顧客がどのように受け止めているかの情報を監視することが要求されている

顧客満足をQMSの成果の一つとして監視する
顧客満足の情報は組織が構築して実施した成果の一つであり、システムが有効であるかの大きな測定値となる
顧客がどのように受け止めているか
単に顧客が満足したかしなかったかの情報ではなく、何に対してどのように感じているのか、顧客に関連する項目(”7.2顧客関連プロセス”のアウトプット)の項目について情報を得る仕組を構築することが必要となる
顧客の定義も対応する内容は多くあり検討が必要となる
発注者|製品を納入する組織の経営層、管理者、担当者|直接の購入者|最終的に使用する消費者|
情報の入手方法
どのような情報をどのような仕組で入手するのか具体的に決めておく
5W1Hで(Why|Wat|Where|Who|When|How)決めておく
使用方法
入手した情報をどのように使うのかを具体的に決めておく
例えば分析した結果をマネジメントレビューの情報にする、予防処置情報とする、設計のレビューの情報とする・・・等
監視する情報の具体例が”注記”で示されている
顧客満足度調査|品質に関する顧客からのデータ|ユーザー意見調査|失注分析|顧客からの賛辞|補償要求|デーラー報告・・等

7.5.2製造およびサービス提供に関するプロセスの妥当性確認

製造した製品(サービスも含む)が必要とした監視及び測定で検証ができないケースにおいてはプロセスの妥当性の確認を必要としている
プロセスの妥当性確認とは製品が必要とした品質が保たれていることであり、そのために以下のa)~e)の内容について該当するもの実施することを要求している

a)プロセスを見直し承認をするための明確な基準
b)使用する設備の承認と作業に従事する要員の適格性(必要とされる力量)の確認
c)製造するための決められた方法及び手順によって実施
d)プロセス妥当性の記録
e)この妥当性を再確認する

プロセスの妥当性確認を組織においてどの工程に適用させるかは多くの意見と考えがあり最も悩む条項である
このプロセス妥当性確認とはプロセスを管理する(Prosess Control)であり、TQMなどの品質管理でいう”工程で品質を作りこむ”ことであり、このプロセス妥当性確認をすべての工程に適用させることが企業の差別化につながる
検査では良い品質の製品は提供できないという考えは、今での日本の製造業の品質を高めた最も重要な内容であった
意識して適用する工程を限定することは品質の向上には寄与しない

7.5.1製造及びサービス提供の管理

”7.1製品実現の計画”で製造するための計画(生産品質計画、施工品質計画)を作ることが要求されているが、その中に具体的に製造するために必要な管理項目を計画の中に含むことを要求している
その管理項目は以下の内容で、生産の実態で該当する項目を含む

製品の固有の情報(特性)がなにであるかわかること
製品特性を計画書の中で明確にする
特性とはその製品そのものであることを識別できるものをいう
物理的には長さ、口径、重さなどが該当するが、電気的、化学的、生物的なものもある
また、感覚的、行動的、時間的、人間工学的、機能的な定量化されたもの、もしくは定性的なものも含まれる
通常は仕様書などで要求されている内容が主に該当する
必要な作業手順があること
製造するためになにが必要な手順かを特定して使えるようにする
手順書は具体的で分かりやすいものとする
電子化されたものも含む
目的にあった(適切)な設備を使用
監視機器及び測定機器が使える
生産におけるプロセスが監視・測定されている
製品を次の段階に進めることを認めること(リリース)又は引き渡した後の活動(アフターサービス、保全など)の実施

7.4.1購買プロセス

”ISO9001:2008 7.4.1購買プロセス”では、資材や部品などを外部から購入する時は、その供給者を事前に評価して、その評価結果と評価によって実施した活動(処置)の記録が要求されている
購入先(供給者)が要求事項を満たすことのできる購買品を提供できるか否かを評価して購入することを要求している
評価方法は規格で要求されていないので、評価頻度、程度、記録の方法は組織で自由に決めて運用する・・すべての購入品を対象をする必要は無い、規格では”・・管理の方式及び程度は、購買製品が、その後の生産実現プロセス又は最終製品に及ぼす影響に応じて定めなければならない”となっているので、事務用品や清掃度具、消耗品など製品品質に影響のない購買品はは対象とする必要は無い

5.4.2品質マネジメントシステムの計画

”ISO9001:2008 5.4.2 品質マネジメントシステムの計画”において、トップマネジメント(経営者)はQMSの計画を策定し、QMSを変更した時にも矛盾がないようにしておくことが要求されています

策定するQMSの計画では次の事項を満たす必要があります

品質目標を達成するための計画
各階層で品質目標が設定されて実施するための計画
4.1 QMS一般要求事項”で要求されていることを具体化するための計画
QMSの計画を具体的に文書化したものが品質マニュアルや規定類等となりますが、システムがすべて文書化されているわけではありませんし、計画の要求では文書化に関する要求はありませんが、原文では”Top management shall ensure that・・”となっていて、組織は策定したQMSがどのようなものか実証する必要があります

4.1一般要求事項の概要

QMSを確立し、文書化し、実施し、維持すること
QMSの有効性を継続的に改善する
次の事項を実施する
組織QMSに適用するプロセスを明確にする
プロセスの流れと相互関係を明確にする
プロセスを効果的に運用するための判断基準と方法を明確にする
プロセスの運用と監視のために必要な資源と情報が利用できることを確実にする
プロセスを監視して測定し分析する
プロセスが計画した成果が得られるために継続改善などの処置をする
プロセスは規格要求に従って運営管理する
プロセスをアウトソースする時は必要な管理をQMSの中で明確にする

5.4.1品質目標

品質目標(Quality Objectives)は文書化することが要求されている

”ISO9001:2008 4.2 文書化の要求事項 4.2.1 一般”においてQMS文書に含めることが要求されている

”ISO9001:2008 5.4.1 品質目標”の要求では

トップマネジメントはしかるべき階層で品質目標が確実に設定されているようにする
”5.4.1の品質目標”はシステム(仕組)の品質目標であり、”7.1製品実現の計画 a)製品に対する品質目標”も含めることしている、すなわち二つの品質目標が要求されている
しかるべき(relevant)階層とは個々の(each)階層ではなく、必要とした階層であり、すべての階層を意味しない
すべての部門部署が異なった品質目標を持つ必要は無い、共通なものがあって良い

”6.2 力量、教育・訓練及び認識”において”・・組織の要員が・・品質目標の達成に向かって自らどのように貢献できるかを認識・・”と記述され要員が品質目標を達成することの重要性を認識させるように要求されている
品質目標は達成された成果が判定できることが必要
必ずしも数値目標だけが判定できる成果と考える必要は無い、他のものもある得る
品質目標は品質方針と整合がとれている
”ISO9000-基本及び用語 3.2.5 品質目標”においても”・・品質目標は組織の品質方針に基づき・・”となっている
品質方針に対応する業務がない部署には、その品質方針の内容が品質目標には展開できないこともあり得る

品質目標に関してはTQMの手法である方針管理をうまく活用すると良い、多くの組織では方針管理の手法を何かの形で使っているのでその手法と整合性を図ると効率的である
”8.2.3プロセスの監視測定”では計画どおりの結果を達成できることを監視して測定することが要求されている、計画どおりの結果とはプロセスの品質目標と同じ内容であることが多い
またプロセスの責任者はそのプロセスを担当する部署である場合も多い
プロセス=部署(業務)と考えると、部署の目標はプロセスの目標とも考えられる

品質目標を設定し測定可能であることは要求事項であるが、品質方針のようにレビューすることは要求されていない

4.2.2品質マニュアル

品質マネジメントシステム(QMS)の適用範囲、品質マネジメントシステム(QMS)の”文書化された手順”の情報及び品質マネジメントシステム(QMS)のプロセスの相互関係を記述した品質マニュアルを作成し維持することを要求している
”4.2.1 文書化に関する要求事項 一般”において品質マネジメントシステム(QMS)の文書に品質マニュアルが含まれていることを要求しているため、品質マニュアルは文書化が必要となる

ISO9001:2008 4.2.3 品質マニュアルでは以下の内容を記述する必要がある

■QMSの適用範囲
QMSを適用する組織の地域、部門、部署など
注・・ここでの適用はScopeとなっている
■ISO9001の規格条項で適用除外をする時は、その詳細と理由
ただし除外出来るのは”7. 製品実現”の要求事項にかぎられる
注・・ここの適用は1.2適用(Appilcation)である
■規格で要求されている”文書化された手順”、又はその手順が別の文書であればその情報
規格で要求している文書化された手順の内容を記述するか、もし別の文書で規定しているとすればその文書が参照できる情報を記述する
■組織のシステムを構成するプロセスとプロセス間の繋がり(プロセスの相互関係)を記述する
組織のプロセスは効率的にかつ有効に運用するためには、組織体系図(品質保証体系図)などで”見える化”をして、管理すべきプロセスを組織の総意として形成しておくことが前提条件となる
建前やあるべき論でプロセスを考えると、システム運用では必ず不具合が発生して形骸化などの原因となってくる
この管理すべきプロセスは監視測定の対象となるプロセスでもある(組織が管理するプロセス)

品質マニュアルは”文書化された手順”と組織が管理するプロセスとプロセスの関係を記述してあれば良いということになるが、それだけでは品質マニュアルが十分で無いと考えられる根拠

  • ”ISO9000-基本及び用語 3.7.4 品質マニュアル”においては、品質マニュアルは組織のQMSを規定する文書となっている
  • ”ISO9001:2008 4.1 一般要求事項”においても”・・規格の要求事項に従って、QMSを確立し、文書化し、・・・”となっている
  • ”ISO9001:2008 5.4.2 品質マネジメントの計画”においても”a)品質目標及び4.1に規定する要求事項を満たすためQMSの計画が策定・・”とQMSを計画することが要求されている

また品質マニュアルはどのような様式や媒体でも良いと規定されている(4.2.1一般 注記3)
ISO14001においては環境マニュアルは明確には要求されていないが、一般的には作成されている


4.2文書化に関する要求事項