ISO 2015年度改正におけるintended outcome

2015年度の改正においてはAnnex SLと称する文書が改正の基礎となっている。
Annex SLにおいて[intended outcome(意図した成果)]という考えが導入された。
マネジメントシステムにおいてintended outcome(意図した成果)とは、組織がマネジメントシステムを導入して得ようとする目的のことである。
目的は何でもよいのではなく、[Expected Outcomes(顧客、利害関係者の望む成果):2009年IAF,ISO共同コミュニケ]がベースとななっている。

  • ISO9001:認証を受けたQMSを持つ組織は、定められた認証範囲について、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品を一貫して提供し、更に、顧客満足の向上を目指す(適用範囲a b)
  • ISO14001:認証を受けた組織は以下の三つの事項に対してコミットメントを実証する(A汚染の予防 / B適用可能な法令及びその他の要求事項を満たしていること / C環境パフォーマンス全体の改善を達成するためにEMSを継続的に改善する)
  • 認証された組織の品質が確保されていないという市場の不満にたして、「顧客や利害関係者の視点からパフォーマンスに役立つマネジメントシステムの存知が確認される」ことが、顧客や利害関係者の期待であるとした。

ISO19011の改訂

2002年度版の19011は対象のマネジメントシステムがQMS,EMSであり、対象とする監査は第一者監査、第二者監査、第三者監査(外部審査)であった。

2011年の改訂によって、対象のマネジメントはすべてになり、対象する監査は第一者監査(内部監査)、第二者監査(外部監査)となった。第三者監査(第三者適合性認証)はISO/IEC17021(第三者適合性認証に関する要求事項)に取り込まれた。

目標の設定

目標の設定には二つの考え方がある

■目標達成型

目標を具体的に設定して文字通り達成する

一般的に数値でピンとくる目標が多くない

営業成績や、売り上げなどは目標値として数値化できるが、この目標も外部要因などの変動係数が多く、未達成(不適合)としても対策が明確にできないものが多い

目標値には、達成のための要因を明確にできる目標値でなくてはならない

目標には定量的な目標と定性的な目標がある

 

■価値観重視型

良い仕事をしたいとか、何かの価値を高めたい、行動をしたい等数値目標とはなり得ない活動が多い

測定が難しいので評価ができないことが多い

その行動は何で評価するかをよく考えて、目標値を設定する

価値があるということは何を指すのか、論理的な思考ができなければ目標にはなり得ない

VOC(Voice of Customer)の解析

顧客ニーズはアンケートなどを使って収集し品質改善及び企業経営の使用として重要であるが、その収集方法が難しく、その解析も簡単ではない
収集するのは言語データであり、5段階評価などで数値化したとしても、評価者の官能値によるばらつきが大きく解析によっては結論が異なる
言語データを収集し、原始情報として要求品質に変換して構造化するツールとして品質機能展開(QFD)が役に立つ

VOCの収集には顧客の要求を聞くのではなく

  • 顧客の購買データから顧客ニーズを把握
  • 顧客の過去の購買履歴から顧客ニーズの推測
  • 製品のメンテナンス使用状況によって顧客ニーズに応える

Voiceは大きく二つに分類される

  • 言語によるVoice
  • 顧客行動を観察することによるVoice

顧客ニーズを把握するためのコミュニケーション

  • 言語によるコミュニケーション
  • 非言語(ノンバーバル)によるコミュニケーション、ボディランゲージともいう
    • 顧客の表情や態度から読み取る

ISO 9001:2015(見込み)CD版(2013/06/03)の日本語訳

全体を読み通しての印象は、次のとおりです。

  1. 共通テキストにはないQMSに固有の要求事項は、ISO 9001:2008にある要求事項がかなり取り込まれている。多くは8章に追加されており8章は盛りだくさんである。
  2. ISO 9001:2008にある固有の要求事項は、条文をほとんどそのまま取り込んでいたり、表現を簡略化して取り込んでいるが、かなり改変したり、新規の要素もある(7.1.5知識など)。
  3. 「製品(product)」という製造業を連想させる用語の使用を控えて「物品およびサービス」という表現に変えているなど、サービス業への適用をかなり意識した内容になってきている。そのため、製品は「プロセスの結果」という認識がやや薄れ気味である。今後、議論の余地がある。
  4. 設計・開発も、設計はエンジニアリングのようなイメージがあるため、表現が開発だけに変わっている。開発については本文の訳注も参照。
  5. アウトソース(したプロセス)の管理にも規定文が増えて、この管理も重要視しているように思える。
  6. 7.1.3ではプロセス環境という節が出てくるが、このエッセンスは作業環境と同じである。
  7. リスクをベースとした規格になっているのは間違いない。
  8. 8章の内容がこなれておらず、全体を通して表現が冗長な部分があり、重複した記述も出てくるため、未成熟という印象があり、見直しの余地がある。
  9. システムやプロセスの結果のパフォーマンス(の監視・測定、分析、評価、改善)に力点が移りつつある。
  10. 用語の定義は共通テキストにあるまま、まったく手付かずで、今後の作業で付け加えられる可能性がある。本文で使用した用語も仮に使ったものがあるようで、用語の選択は厳密に考えていないもよう(全体としての整合性の観点でも見直しの余地がある)。
  11. 継続的改善という表現はやめ、単なる改善にとどまっている。これは、QMP(品質マネジメントの原則)の改定に対応したらしく、CDの附属書AにあるQMPの5は改善となっていて、継続的という用語は除かれている。日本代表エキスパートの説明によると、規格開発グループの関係者は、改善に継続性が不要という意識はなかったもよう(当然ながら継続的にするものだという意識)。また、改善にくっついてイノベーション(改革)という用語も姿を現している。今後の議論の対象となりうる

各国関係者からかなりの議論がありそうで、国際規格案になるまでにスッタモンダしそうな気がします。

順調に行けば来年の5月にDISに、2015年の9月に国際規格になるそうですが、たぶん遅れて、2015年年の年末にISO規格になるのが精一杯のところ、という感じでしょうかね。

文書の配布管理

この前の審査で文書の配布管理で少し勘違いをした
審査組織のマニュアルでは「・・・外部で作成された文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。」となっていた
審査において確認すると、外部文書が何かはあまり明確ではなく、特定する文書は存在しなかった
また、配布を管理する仕組みについても明確に確認することができなかったが、そのことが、良くない結果に結びついている事例も発見できなかったので、「マニュアルに規定してある、外部文書を使用する場合には、適切に配布管理することに関して検討の余地がある。」と観察をメモした

この時の勘違いは、マニュアルに配布台帳を作成して管理していると書いてあると、勝手に考えてしまったことである
観察のメモ自体には配布台帳の有無について記述していないので問題は結果として無かったが、配布の管理について、少しピントがずれてしまった
協力業者や発注先に製作図面や仕様書を送り、変更などがあったときは当然、組織は変更図書などの再配布や修正をおこなっているはずであり、そのために悪さ加減は発見できていない・・・すなわち、観察事項でもなく、組織は規格要求事項に適合していたと考えられる

”配布管理=配布台帳による管理”とかってに頭が考えてしまう、昔の悪い習慣が出てしまった
言い訳がましくなるが、ISOの最初の頃(筆者が管理責任者の頃)は、審査員は配布台帳がない事例は、問答無用で”不適合”とされた
規格要求事項の記述には、配布管理台帳を作成(文書化要求)の要求はない・・・今までのISOの審査で過大解釈された例である

ISO9001 4.2.3文書管理
品質マネジメントシステムで必要とされる文書は、管理されねばならない。・・・・・・必要な管理を規定するために”文書化された手順”を確立しなければならない・・・・
d)該当する文書の適切な版が、必要なときに、必要なところで使用可能な状態にあることを確実にする。
f)・・・外部からの文書を明確にし、その配布が管理されていることを確実にする。
ISO14001 4.4.5文書管理
ISO14001に於いても文書管理の要求事項はISO9001とまったく同じである

文書管理のための”文書化された手順”を要求されているが、文書を管理するための手順であって、配布管理した結果の記録(配布管理台帳等)まで要求していると、考える拡大解釈は行き過ぎである
規格要求事項も内部文書に関しては配布管理は要求していない、d)では、該当する文書の適切な版が、使用可能な状態であればよいとしている
しかし、f)では、組織が必要とした外部文書は配布管理を要求している。
あくまで配布をおこなった文書を管理せよということであり、配布先やバージョンなどの配布管理台帳等を要求はしてはいない

ISO内部監査員社内研修

山口にある造船関係の会社の依頼で社内研修を行った
この組織では新規にISO9001の取得を目指している
二日にわたる研修であったが参加者は35名にオブザーバーとして取締役を初めとする工場長もすべて幹部は参加されていた
ISOの規格を説明すると普通の人は法律のようなわかりにくい言葉の羅列に睡眠時間となるのが常であるので、研修はディスカッションや質問などを多用して実施するようにしている
ISO9001(QMS:品質マネジメントシステム)の研修で心がけている第一は、規格の理解を説明することではなく、実務で発生しているであろうと思われる多くの不具合を顕在化させて問題を発見するツールとして捉えることである
直接的な問題点である不具合や異常そしてクレームなどは、製造における工程改善としてQCサークルや小集団活動として実施され成果を上げているが、これらはその職場で解決できる範囲に限定され管理(Control)を改善してゆく手法である
QMSはトップマネジメント(上級管理者)のツールであり、そのような問題が発生する組織の仕組みの問題点を改善してゆく手法である
日本の品質管理では現場第一線はQC活動などで工程改善が進み製品の品質は向上したが、経営の品質は置き去りになっていた
TQC、TQMという活動はあったがしょせん経営者は御輿のお飾りであれば良く、旗振り役程度の役割しかおこなってこなかった
私はQMSは経営者のマネジメントの成果を問う物さしと考えている
QMSの規格で要求されている事項は上級管理者が、組織の仕組みを構築する上で実施させなくてはならないことである。
QMSはボトムアップで構築されるものではなく管理者が自ら実施するべき管理(Management)である

顧客満足とクレーム

ISO9001:2008 の規格には8.2 監視及び測定に8.2.1 顧客満足(Customer satisfaction)があり、顧客満足の情報の監視を要求しています

この監視情報の入手には品質に関する顧客からのデータ、ユーザーの意見、失注分析、顧客からの賛辞、補償請求などのクレームや一般的な顧客アンケートなどが規格では参考として注記となっています

多くの審査する組織ではクレーム情報やアンケート結果を顧客満足の監視として規定していますが、顧客の真意を測るにはこの内容だけでは不十分であるということは言うまでもありませんが、規格ではこれ以上を要求しているものではありません

クレームの監視だけで本当に顧客の商品に対する思いが測定できるでしょうか

※規格8.2.1で要求しているのは情報の監視であって測定ではありません

ここに米TARP社のグッドマンが実施した消費者のクレームに関する調査、グッドマンの法則が参考になります

商品に不満を持っている人の60%はその不満を表明せず、再購入率は9%と低率です

このことは顧客アンケートにも同じ現象であると考えられます

クレームとして対応できるのは不満を持っている人の40%でしかありません

そのクレーム対応によっては再購入率の向上が期待できます

いかにサイレントクレームを顕在化させることが重要です

また対応は敏速に実施することで不満は好意に変わります

QMS審査で有効性に関する質問

QMSにおける有効性審査を実施しようとすると、意識をしないと自然にコンサルをしている方法になることがある
ISO審査においてはコンサル行為は禁じられている

ISO17021:2006(JIS Q 17021:2007) 適合性評価-マネジメントシステムの審査及び認証をおこなう機関に対する要求事項
この規格でコンサルティングについて規定している

用語の定義として 3.3マネジメントシステムのコンサルティング
マネジメントシステムの設計、実施又は維持に関与すること
b)マネジメントシステムの開発及び実施に向けての固有の助言、指示、または解決を与える
注記)教育・訓練が、マネジメントシステム又は審査に関係し、・・・・教育・訓練を手配し、講師として参加することは、コンサルティングとみなさない。・・講師は、・・・固有の解決策を提供しない
審査において公平性を損なう脅威を規定している 4.2.4公平性に対する脅威には次の事項を含む
a)自己の利害関係による脅威:審査組織(員)の利益になるような行動
b)自己レビューによる脅威:審査組織(員)がコンサルしたシステムを自分で審査する不公平
c)親密さ(又は信用)による脅威:親しい人、及び組織への審査は甘くなる可能性がある
d)威嚇による脅威:いろいろな圧力を審査に対してかける
5.2.5  認証機関のコンサルの禁止
認証機関及び・・・、マネジメントシステムのコンサルティングを申し出たり又は提供してはならない。・・・
5.2.10 利害抵触が発生しないための処置
・・・コンサルティング提供した要員が、・・・かかわっていた場合、認証機関は、コンサルティングの終了後の2年間は、これらの要員を、・・・審査又は他の認証活動に従事させてはならない。

コンサルとならないために、審査における質問の方法は考慮する必要がある
有効性確認のための質問例

Why(なぜ・・)と質問する
なぜそのようにしたのですか・・・
どうしてそうなったのでしょうか・・
なぜ達成できなかったのですか・・
なぜその不具合は起こったのですか・・
なぜ知らなかったのでしょうか・・・
目的などが達成できていないときは原因を質問する/dt>

その原因は何でしょうか・・・
なぜ達成できなかったのでしょうか・・・
他に原因はありませんか・・・
要員の力量はどうでしたか・・・
設備は要求を満たしていましたか・・・
手順はありましたか・・・
手順は守られていましたか・・・
手順や帳票及び記録を確認するときに、その有効性を確認する
その手順は何を見ればわかりますか・・
必要な人に理解されていますか・・・
記録は必要ですか・・・
その記録は何に使いますか・・・
その記録は分析していますか・・
必要な記録は何ですか・・
記録は要求された内容を満たしていましたか・・・

審査における文書化の要求について

審査において組織に対して文書化の要求をする事例があるが、この指摘には注意が必要である
審査では業務の実態を審査することが重要であり、マニュアルや文書・手順に書いていない事項を確認検証するために現地で行なうことであることが必要である
被審査組織のマニュアルに規格要求事項が書いて無くとも、そのように計画、実施、維持、レビュー、評価などがされているか、を審査をすることが重要である
実態を審査をして適合が確認出来れば、文書化を要求されていない手順については、口頭での説明も客観的な証拠となり得る
審査で見つけた手順の文書化を要求すべきではない。不適合が存在し、その是正のために組織が手順を文書化することは当然の処置と考えるが、規格が要求する文書化された手順及び組織が必要と決定した記録を含む文書に該当しない限り、手順書がないことを指摘すべきでない
品質マニュアルの位置付けは要求事項を満たしている限り、組織の自由な考えで良く、あくまで規格要求された主旨が満たされていない場合に限って、指摘して是正を求めることになる
審査は、組織の文書を拠り所にする必要があるが、あくまで仕事の流れに沿った審査サンプリングが原則である
規格の要求する文書化された手順

7.3設計・開発の除外について

ISO9001の適用除外は7.製品実現の状況について可能であるが、7.3設計・開発の除外について誤った解釈されている組織があり、注意が必要である
設計・開発の適用除外は、要求事項を満たす製品を提供するという能力及び責任に関してどのような影響も及ぼさないことが必要である
また設計・開発の定義は要求事項を製品やプロセスを規定された特性及び仕様書に変換することであり、一般的に考えられている設計だけではない
また当たり前であるが、除外することが不自然であるもの、したくないのが除外理由ではない
良くある事例として、設計部門が組織に存在しないとして適用除外をしている組織があるが、本当に設計・開発の機能は存在しないのであろうか
改善のために製品製造過程において工夫改善や機能を変更するなどのVE・VA活動及び顧客への提案活動などは設計・開発の機能である
広義の解釈では製造のための生産計画やプロセスの設計などは設計・開発の機能といえる

JAB公開討論会における有効性審査について

組織におけるパフォーマンスは成果を含む実施状況であり、有効性審査は適合性審査の一部であり付加価値審査のことではない
適合審査には逐条審査(ISO9001の条項ごとに、要求事項を満たしているかを判定する審査)と、QMSが有効に機能していることがその条件となるとされ、有効性審査の実施方法としては、方針及び目標の妥当性を確認し、達成状況とその活動のパフォーマンスを審査する
その内容は達成するために行なわれたプロセスを見ることが重要である

ISO9001規格の歴史

ISO9000シリーズの規格は1987年に制定された
その後1994年に改訂され、日本においても翻訳された規格があわせてJIS Z 9001:1994として発行されている


ISO9001~9003:1987 JIS Z 9001~9003:1991

供給者(組織)が顧客の求める品質要求事項を満たす能力を証拠で示す基準を与える「外部品質保証」のモデルとしてスタートした


ISO9001~9003:1994 JIS Z 9001~9003:1994 品質システム-設計、開発、製造、据付け及び付帯サービスにおける品質保証モデル

品質保証モデルは顧客が供給者(組織)に対する信頼感を保持するために、組織の構築した仕組(システム)に何を要求するべきかをという観点から規定され、ISO9001(設計)、ISO9002(製造)、ISO9003(検査)で要求していた
このモデルの要求事項は証拠が重視され文書化と記録の要求が多く、このときの印象が、ISOは文書が多く形骸化したシステムであるという評価となってしまった


ISO9001:2000 JIS Z 9000:2000 品質マネジメントシステム要求事項

「品質保証」に加えて「継続的改善」と「顧客満足」の要素を加えて、呼び名も品質保証モデルからマネジメントシステムと内容も大幅に変更された
また、文書化や記録の要求事項が必要最小限となり、文言も分かり易く改訂された


ISO9001:2008 JIS Z 9000:2008 品質マネジメントシステム要求事項

曖昧な内容と理解しやすい文言に修正されたが、ISOの意図と条項の改訂は行なわれず追補ということになった

ISO9001規格の意図

ISO_pfmQMS(ISO品質マネジメントシステム)を組織で構築するためには、規格の意図を理解して構築することが望ましい
規格には「しなければならないこと(~shall)」は規定してるが、「どのようにするか(How~)」はどこにも書かれてはいないので、どのようにするかは組織が今までのやり方やあるべき姿などにより独自に考えることになるが、
ここに落とし穴が潜んでいる
すぐ規格要求に従って要求を満たそうとすると、組織の実態に合わなかったり、無駄な仕事や帳票を増やすことになる
システムが有効に働いていない組織はこのパターンが多い


まず、「しなければならないこと」が明確に理解できているのか?
規格の文言はなかなか理解するのはハードルが高い
文章そのものを理解するだけではなく意図を理解する必要がある


意図は組織によって又は個人の経験や力量によって色々と異なっていることが考えられる
まず第一ステップとして規格の要求されていることを、組織で実践されているどの方法が該当するかを経験的に当てはめてみて、組織で実施されていたその方法は何のためにルール化されて実施されていたのか考えて見る
何のために実施されていたかが意図であるということになる
ここで何のために(目的)が明確になると、その目的を果たすために今までのルールで問題はないのか、達成出来るかを考えて見る


これにはマネジメント(経営)的な力量が必要であり、組織の多くの英知とトップマネジメントの意志が必要になる
力量が十分でない担当者やトップマネジメントが真剣に取り組んでいない組織が構築したシステムは、うまく機能せず、認証や審査のための形骸化した二重化の仕組になってしまいことが多い


たとえ構築時には理解不足としても、運用をすることによってやり方の問題点を是正しゆけば、組織に合った最適な仕組になり得る可能性はあるが、多くの組織はそのパワーと意欲が継続出来なくなっているケースを多く見かけるのは残念である
ISOに対する批判も多いが、使いこなせていない組織では、責任者の力量不足とトップマネジメントの仕組に関する無関心が主たる原因となっている


本来は再認証やサーベランスの機会で組織の仕組の問題点を指摘を受けて変更すべきであるが、指摘内容も子葉末節なものが多く小手先の変更にとどまっている
組織も一度構築したら手を抜くことなく最適化(継続的改善)するための方法を常に模索することが必要である
業務改革などはまさしくこのことになるのだが、多くの管理者は別な物と捉えて活動していることも残念である

ISO9001における設計・開発とは

ISO9001で使われている「設計・開発」の用語の意味を組織において都合良く定義すると、当組織が「設計・開発」の機能を持っていないとの理由で、規格条項「1.2 適用」で「設計・開発」を適用除外をすることができる
2008年度改定を機に「設計・開発」の適用除外を厳格に運用することになっている
「設計・開発」:要求事項を実現させるために製品、プロセス、システムの仕様に変換する行為をいう
ここでいう要求事項は顧客要求事項のみではなく、法令・規制要求事項、組織の要求する内容も含む
「設計・開発」には製造に関わる提案や変更提案及び工夫・改善や工程変更も含まれることになる
またサービス業などではサービス提供の手順を決めているマニュアル作成などは計画行為は「設計・開発」に含まれる

ISO/TC176

TCとはTechnical Comitteeであり、ISOにおいて1979年に品質保証における標準化を目的としてつくられた専門委員会です
この専門委員会は規格の改定や、規格の公式解釈など実施しています
この委員会は三つの分科委員会がありますSC(Sub Comittee)

  • SC1:基本及び用語(ISO9000)
  • SC2:品質システム(ISO9001)
  • SC3:支援技術(ISO10015)

4.2.1一般(文書化に関する要求事項)

品質マネジメントシステム(QMS)の文書には次の四つが要求されている

1. 品質方針と品質目標
品質方針については”5.3品質方針”による
品質目標については”5.4.1品質目標”による
2. 品質マニュアル
内容については”4.2.2品質マニュアル”による
3.規格で要求されている”文書化された手順”及び記録
規格で要求している六つの文書化された手順(4.2.3文書管理|4.2.4記録の管理|8.2.2内部監査|8.3不適合品の管理|8.5.2是正処置|8.5.3予防処置)
規格で要求している20カ所の記録
4.組織が必要とした文書及び記録
規格は要求していないが組織が効果的な運用をするために必要とした文書
組織の品質マニュアルや規定、手順で必要とした記録
文書及び記録は建前や従来の管理の延長上で規定すべきではない、本当に何が必要でどのように使うのか形骸化をさせないために良く検討する必要がある、また運用して不要、必要をレビューして改善してゆくことも必要である
注記1 ”文書化された手順”についての説明
手順が文書化されて、実施され、維持(レビューされ更新される)されることを意味する
文書化は必ずしも一つの文書にまとめる必要は無い
注記2 QMSの文書化の程度は異なってよい
組織の規模及び活動の種類によって・・・大きい組織と小さな組織は当然違う
組織のプロセスとシステムの複雑さ・・・システムとプロセスは合理的に簡素化した方が管理しやすい
組織に属している要員(従業員)の知識、技能や経験などの力量によって文書化の内容は異なる
注記3 文書化の媒体の種類はどのようなものでも良い
文書は上の媒体でなくても電子化、映像、看板、標識などどのようなものも文書化である
ただし、バージョンや最新版などの識別が出来なくてはならない

文書化は組織運営にとって無くてはならないものではあるが、目的はあくまで関係する人たちに役割や手順、規定などを伝達し、運用において間違えることがないようにすることであり、文書化が目的ではない
伝達し理解させるには紙の運用だけではなく、イントラネットや電子化された情報も文書化であり、その内容も図やマンガ、写真、フロー図、マトリックス、看板、表示類、映像化された情報等も含まれる
また文書化は組織の大小、仕組の複雑さ、関係する人たちの理解力に応じて、組織にあったものを作成すればよい、画一的に作成されるべきものではない


4.2文書化に関する要求事項

4.2.4 記録の管理

次にあげる目的のために必要な記録が要求され、その管理には”文書化された手順”が要求されている
規格(ISO9001:2008)で要求されている記録は20ヶ所ある

記録が必要な目的
■要求事項(品質マネジメントシステム要求事項、規格要求事項、製品要求事項)に適合した証拠として
■品質マネジメントシステムが効果的に運用された証拠として
文書化された手順で管理する手順には以下の内容を含む
1. 記録の識別・・・記録は識別が可能な方法
2. 保管・・・・・・どのように保管するのかその方法
3. 保護・・・・・・損傷しないための方法
4. 検索・・・・・・容易に検索するための方法
5. 保管期間・・・・どの記録をいつまで保管するのか決める
6. 廃棄・・・・・・保管期間が過ぎた記録を処理をする方法

記録の管理方法の手順は一般的に品質マニュアルに書かれることが多い、必要とされている管理内容について漏れの無いように決めておく
おのおのの管理をどのようにするかについては要求されていないので、組織で必要に応じて決める

記録は組織にとって効果的なものにする必要がある
記録を取ることはコストアップにつながる内容もありむやみに増やすことはシステムを重たくする
記録を取るには以下の内容を検討する

  • 何のために、取った記録はどのように分析して何に生かすのか
  • だれに対してその記録は証明する必要があるのか
  • その記録で本当に品質の証明になるのか
  • 正しく作成された記録と判断できる仕組なのか

4.2文書化に関する要求事項

4.2.3文書管理

品質マネジメントシステム(QMS)で必要な文書の管理を要求している
何がQMSに必要な文書なのか良く検討することが必要で、むやみに文書化を進めると運用に効果のない、かつ形骸化した文書が増えて、システムの有効性を阻害する時が多い
文書管理に関しては”文書化された手順”が要求事項となっているので、その管理の仕組を具体的に(5W1H)で規定して文書化する必要があるが、多くの場合品質マニュアルに管理方法を記述することで良い
また、文書の一部である記録の管理に関しては”4.2.4記録の管理”で管理する

■管理する文書は発行する前に承認することが要求されている
どの文書が管理する文書であるか組織内で良く検討する必要がある
無駄な文書を管理文書とすると文書管理が複雑になり有効性を低下させる原因となる
管理すべき文書と決めたら、当然ではあるが内容は適切であるか審査し承認する必要がある
いつ、どのように、誰が審査し承認するかを決めておく必要がある(5W1Hで)
■運用されている文書はレビューして再承認する
文書はいつ、どうのように、誰がレビューし再承認をするかを決めておくが、規格は必要に応じて実施するとなっているので、定期的に行なえとは規定していない
その文書を管理している責任者(文書の承認者)が監視しレビューしていればよく、レビューや監視の記録は要求されていないが、必要とされた文書の更新と再承認の行為は記録となる
実態の仕組とその仕組を規定する文書とが整合していればよい
また審査(監査)によって実態と文書の間に些細な不整合があったとしても、その事によって問題が発生していないならば、指摘とするには過大な要求となる可能性がある
■文書の変更の識別、有効な版の識別
管理文書の変更に当たってはどこのヶ所が変更になったのか分かるようにしておく
また、文書は発行した履歴の版が識別できるようにしておく(バージョン管理)
どのような方法で変更場所を識別し文書のバージョンなどは出来るだけ簡単な方法で管理するかを考える(電子化などがよい)
■その文書の必要なバージョンが必要な時に使えるようになっている
必要な文書がすぐ見ることが出来る用になっていればよい、手元にファイリングなどは要求されていない、例えばイントラネットに文書があり、パソコンから閲覧できればよい
文書の有効な版(最適版と最新版がある)が識別できるようにする

■文書は読んで意味が分かり、文書の種類や版が分かる
文書として読んで意味が分かり、バージョンが明確なことは当たり前である
■組織が必要であると決めた外部文書は管理している
何が管理すべき外部文書か明確にする、少なくとも製品を製造するに必要な仕様書や規格、法令規制及び顧客の図面類などは外部文書である
もし、その外部文書を配布する時には配布管理が要求されている
必要性を良く検討して配布をしないと、管理の手間が増大する、効率よくするにはイントラネットなどで情報を共有し、印字したデータは非管理文書と規定しておくなど工夫をする
■廃止された文書は区分等の識別をして、間違って使われないように管理する
廃止された文書はすべて破棄し管理していないとすることは、過去の遡って原因などを追及する時に問題が発生することが考えられる
文書を管理する責任者がその班を保管していれば良く、バージョン管理が確実であれば廃止文書などと明記する必要もない
イントラネットなどで管理することが有効である

文書の管理を今までのように台帳や紙で管理すると、文書管理は意外と手間がかかる
イントラネットで電子化された文書管理を実施することで大幅な軽減が可能になる
印字された紙の規定類や文書は非管理文書として規定し、イントラネット上の文書を管理文書とすることにより複雑な配布管理は実施しない
文書の承認についても一般な組織では印座が多すぎる、規格で要求しているのは承認(責任者の印)のみである・・印座は廃止しイントラネットのIDに文書の承認権限を割り付ける
識別についても従来のように紙の台帳などで管理すると追加や修正など大変であり・・・イントラネットで承認権限をもつ責任者がアップロードできる仕組にし てアップされた文書はイントラネット上のアプリケーションで整理・識別されるようにシステム化する(メンテナンスフリーとする)
外部文書についても同じ仕組で管理すれば配布などは必要なくなる
このような電子化された仕組はイントラネットを転回している組織には有効な管理方法となる


4.2文書化に関する要求事項

7.2.1製品に関連する要求事項の明確化

製品に関する要求事項について以下の項目について明確(shall determin・・)にすることが要求されている
どの要求はdeterminであるから明確にする意味は要求事項が何であるかを決定することである
そのためには製品要求事項は各対応する権限をもつ責任者が決定しておく必要がある

■顧客が規定した要求事項
顧客が文書(仕様書、図面、指示書、打合せ記録など)及び口答で伝えた製品への要求事項
口答で伝えられた要求事項も組織側でレビューすることが求められている(”7.2.2製品移管する要求事項のレビュー”で規定)
ここでのレビューは顧客に口答で指示されたことの再確認であるから、必然的にその要求事項を文書化しておかなければ難しいといえる
■顧客から明示されていないが、その製品を使用するに必要な機能や品質に関する要求事項
この要求事項は製品をセ蔵するに当たってたいへん重要な条項である
製造側は顧客から提示されたスペックに従って製品を造れば良いのではない
その製品を使用するために必要とされる品質や機能は製品への要求事項である
また製品に対して常識的に必要とされる品質(既知の要求)も製品への要求事項となる
明示されていない要求事項、すなわち暗黙の要求事項にどのように組織として明確にするための仕組を構築しているかがポイントとなる
今まで経験に基づく管理の延長上ではこの要求事項を明確に決定させる事が出来ないことが多い
この暗黙の要求事項を、いつ、どのように誰が決定するかを決めておく必要がある(5W1Hで)
■製品に適用される法令・規制要求事項
製品には多くの法律や条令などが関係するこの法令に関係する規制を誰が最新版に情報を整理し、正しく対応しているかを決定する仕組を構築する
この要求事項には業界の規制や約束事なども含まれる

■組織の要求事項
自分の組織が製品に対しての追加要求事項である
その要求事項には、スペックなどよりも更に高い組織としての品質水準(社内仕様)及び適用する技術(標準)などが該当する
また、製造にかかるコストや納期なども組織要求事項である
この社内要求を適用させるのは、どのように、いつ誰が決定するのか仕組を構築する(5W1Hで)
■引き渡し及び引き渡し後の要求事項
製品を引き渡す時の要求事項、すなわち運送や包装、養生及び取扱説明などを含む
引き渡し後の保証に関する取り決め、メンテナンスサービスに関する事項、リサイクルや製品を破棄する時の対応などに関する要求事項
これらの要求事項も明確にしておくことが要求されている

この条項でも文書化や記録を直接は要求されていないが、組織内部及び顧客との間でこの要求事項を明確にしておくためには、契約書や打合せ記録、そしてこの要求事項を決定した責任者などの情報は文書化した方が円滑に運営できる


7.2 顧客関連プロセス

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