ISO 9001:2015(見込み)CD版(2013/06/03)の日本語訳

全体を読み通しての印象は、次のとおりです。

  1. 共通テキストにはないQMSに固有の要求事項は、ISO 9001:2008にある要求事項がかなり取り込まれている。多くは8章に追加されており8章は盛りだくさんである。
  2. ISO 9001:2008にある固有の要求事項は、条文をほとんどそのまま取り込んでいたり、表現を簡略化して取り込んでいるが、かなり改変したり、新規の要素もある(7.1.5知識など)。
  3. 「製品(product)」という製造業を連想させる用語の使用を控えて「物品およびサービス」という表現に変えているなど、サービス業への適用をかなり意識した内容になってきている。そのため、製品は「プロセスの結果」という認識がやや薄れ気味である。今後、議論の余地がある。
  4. 設計・開発も、設計はエンジニアリングのようなイメージがあるため、表現が開発だけに変わっている。開発については本文の訳注も参照。
  5. アウトソース(したプロセス)の管理にも規定文が増えて、この管理も重要視しているように思える。
  6. 7.1.3ではプロセス環境という節が出てくるが、このエッセンスは作業環境と同じである。
  7. リスクをベースとした規格になっているのは間違いない。
  8. 8章の内容がこなれておらず、全体を通して表現が冗長な部分があり、重複した記述も出てくるため、未成熟という印象があり、見直しの余地がある。
  9. システムやプロセスの結果のパフォーマンス(の監視・測定、分析、評価、改善)に力点が移りつつある。
  10. 用語の定義は共通テキストにあるまま、まったく手付かずで、今後の作業で付け加えられる可能性がある。本文で使用した用語も仮に使ったものがあるようで、用語の選択は厳密に考えていないもよう(全体としての整合性の観点でも見直しの余地がある)。
  11. 継続的改善という表現はやめ、単なる改善にとどまっている。これは、QMP(品質マネジメントの原則)の改定に対応したらしく、CDの附属書AにあるQMPの5は改善となっていて、継続的という用語は除かれている。日本代表エキスパートの説明によると、規格開発グループの関係者は、改善に継続性が不要という意識はなかったもよう(当然ながら継続的にするものだという意識)。また、改善にくっついてイノベーション(改革)という用語も姿を現している。今後の議論の対象となりうる

各国関係者からかなりの議論がありそうで、国際規格案になるまでにスッタモンダしそうな気がします。

順調に行けば来年の5月にDISに、2015年の9月に国際規格になるそうですが、たぶん遅れて、2015年年の年末にISO規格になるのが精一杯のところ、という感じでしょうかね。

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